日本に経典が伝来する前、『観無量寿経』は中央アジアで行なわれていた阿弥陀様の観法と深い関係にあったと云われます。中央アジアのクチャでは、洞窟一面にラピスラズリをすり潰した顔料をふんだんに使った仏画が描かれ、信仰の対象とされていたと云われます。
寺院の中心で、信仰の対象となるご本尊の背後には、この顔料(瑠璃)を用いて石踊達哉師に仏後壁を描いていただきました。仏後壁に描かれた青海波には、あたかも阿弥陀さまから発せられた光の仮仏の如く、そこかしこに金粉がちりばめられています。金粉の延長上、本堂天井には無数のLEDの光が輝いています。これは、堂内にいる我々を温かく包んでくださる「光」を、より体感できるようにと、建築家の河原泰先生とライティングデザイナーの小野田行雄先生が考えられたものです。
本堂内の周囲には、108本の煩悩柱が建てられており、柱の下からは炎をイメージした光が発せられています。これは阿弥陀さまの慈悲の「光」に照らされることで、煩悩が清められ、われわれ自身のあるがままの姿が照らしだされることを表しています。常に煩悩に囚われてしまう我々ですが、阿弥陀さまのことを心に想うと、阿弥陀さまは自ら我々の心の中に入ってきてくださいます。