第11回 鳥居清長忌展覧会「二日間だけの清長と版元たち〜蔦屋重三郎の時代」

このたびの鳥居清長忌展覧会では回向院に眠る鳥居清長とともに、本年話題となっている浮世絵の版元、すなわち浮世絵のプロデューサーにも焦点を当てています。とかく浮世絵と言えば、図柄を描いた浮世絵師が注目されてしまうのはやむを得ないが、しかし浮世絵師の独力で浮世絵版画ができあがるわけではありません。絵師は版下絵を描き、彫師がその版下絵を板に裏返しに貼って版木を彫り、摺師が版木に墨や絵具を置き紙をのせてバレンで摺ることで一枚の版画が完成するという、卓越した職人たちによる協業なのです。そして、浮世絵の出版企画を立て、職人たちを統率して作品を摺りだし、販売まで担った出版者が版元なのです。

版元たちにとって、人気絵師に版下絵を描いて貰うことは商売の成果に直結していました。清長の場合は、大多数の錦絵を西村屋与八(永壽堂)から刊行していますが、蔦屋重三郎(耕書堂)版も散見されます。西村屋は美人画の有力版元でしたが、新興の蔦屋はやがて喜多川歌麿や東洲斎写楽の大首絵という新機軸で対抗してゆくことになるのです。

なお、ここ回向院の境内には、「無縁法界塔」と揮毫された供養塔が文久三年(一八六三)に建立されています。基壇正面に「にしきゑ(錦絵)職人中」とあり、台座には摺師の名も刻まれています。光を当てるべき浮世絵の重要な担い手たちにも、あわせて思いを馳せていただければ幸いです。

十文字学園女子大学 教育人文学部文芸文化学科
教授 樋口一貴

喜多川歌麿 画/版元:蔦屋重三郎(耕書堂)「両国川開きの景」 川崎・砂子の里資料館蔵

喜多川歌麿 画/版元:蔦屋重三郎(耕書堂)
「両国川開きの景」
川崎・砂子の里資料館蔵

鳥居清長 画/版元:西村屋与八(永壽堂)「雛形若菜の初模様 丁子屋内若草」

鳥居清長 画/版元:西村屋与八(永壽堂)
「雛形若菜の初模様 丁子屋内若草」

北尾政演(山東京伝) 画/版元:蔦屋重三郎(耕書堂)「青楼名君自筆集の内瀬川の図」

北尾政演(山東京伝) 画/版元:蔦屋重三郎(耕書堂)
「青楼名君自筆集の内瀬川の図」

鳥居清長 画/版元:蔦屋重三郎(耕書堂)「洗濯と張り物」

鳥居清長 画/版元:蔦屋重三郎(耕書堂)
「洗濯と張り物」

当院内「無縁法界塔」と揮毫された供養塔 文久三年(1863)建立の銘

当院内「無縁法界塔」と揮毫された供養塔
文久三年(1863)建立の銘

西村屋与八が使用した「永壽板」印(黒文方印)

西村屋与八が使用した
「永壽板」印(黒文方印)

蔦屋重三郎が使用した「耕書堂」印(朱文円印)

蔦屋重三郎が使用した
「耕書堂」印(朱文円印)

*所蔵先表記がない作品はすべて回向院蔵

開催概要

開催概要
イベント名 第11回 鳥居清長忌展覧会
二日間だけの「清長と版元たち」〜蔦屋重三郎の時代〜
会 期 令和7年5月31日(土)~6月1日(日)
開館時間:10時~17時
*入館は閉館の30分前まで
会 場 回向院念仏堂(墨田区両国2-8-10)
主 催 回向院、清長忌実行委員会
後 援 国際浮世絵学会
一般社団法人 墨田区観光協会
協 力 公益社団法人 川崎・砂子の里資料館
公益財団法人 摘水軒記念文化振興財団
千葉市美術館
すみだ北斎美術館
其角堂
株式会社 江戸文物研究所
有限会社 艸藝社
入場料 無料
お問い合わせ先 清長忌実行委員会事務局
〒103-0013
東京都中央区日本橋人形町2丁目18-4 昭美ビル1階
電話. 03-5640-4446
https://www.ukiyoe.co.jp

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(日)
薬膳茶イベント

お茶と漢方の伝来史と体整う薬膳養生について
お茶を通して薬膳を体験! 薬膳茶と茶菓子付き

平安時代、お茶と東洋医学は同じ時期に日本の僧侶が中国からもたらしました。当時、お茶は薬として使用されていたほど薬効の高い貴重なものでした。お茶の養生本『喫茶養生記』に綴られるお茶の持つ効果と伝来史、そして東洋医学と薬膳についてわかりやすく解説いたします。
薬膳は難しい、美味しくないと思われている方も多いと思いますが、身近な食材、季節の食材だけでも十分体によいお料理やお茶になります。
薬膳にご興味がある方、歴史に興味がある方などどなたでもお気軽にご参加ください。美味しい薬膳茶を茶菓子とともにご試飲いただけます!

薬膳茶

講 師

谷口ももよ
一般社団法人 東洋美食薬膳協会 代表
世界中医薬学会連合会 理事

著書 『女性の100の不調を整える薬膳と漢方』、『美人薬膳ごはん』、『ベジ薬膳』等

日 時 6月1日(日)
第一部/11:30~(開場11:00) 約45分程度
第二部/14:00~(開場13:30) 約45分程度
会 費 会費:1,000円(薬膳茶と茶菓子付き)
各回定員:30名様 事前ご予約制です
(当日席も若干ご用意いたします)
お申込み先

お申込み先:info@orientalyakuzen.com
東洋美食薬膳協会 小島/明石

または、電話:TEL. 03-6768-6470にてお申込みください

薬膳茶

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(土)
法話カフェ

法話カフェとは

境内より階段を上がり、竹とクリスタルに彩られた念仏回廊を進んだ先の客殿にて、カフェスタイルの法話会を開催します。
万物救済の教えである「仏の教え」を誰にでも気楽に味わってもらおうと、若手僧侶を中心に、一生懸命に勉強した「仏の教え」をお伝えします。
千住博画伯による襖絵「浄土の滝」に囲まれた客殿は、都会のオアシスの如く、落ち着いた雰囲気を醸し出します。
珈琲やハーブティーを飲みながら、心穏やかに、「仏の教え」に触れて頂ければ幸いです。

法話カフェ 法話カフェ

日 時 5月31日(土)
第1座/14:00~
第2座/15:30~
場 所 回向院念仏堂2階にて
会 費 要予約・要席料
飲み物付
お申込み先

電話、もしくはメール(info@ekoin.or.jp)にて受け付けます。

法話カフェ
法話カフェ

東京都墨田区両国2-8-10
TEL: 03-3634-7776

アクセス:
JR総武線両国駅西口より徒歩3分、
地下鉄大江戸線両国駅より徒歩10分

回向院ホームページ:
https://ekoin.or.jp/