
回向院では、平成25年4月に境内に「清長碑」を建立し、浮世絵師清長の偉業を永く顕彰することといたしました。
六大浮世絵師の一人として世界的にも高く評価されている「鳥居清長」。現実的な背景に美人を群像的に配する清長の作風は美人風俗画と称され、後の大判続物(※1)の発展の基礎を築き、「天明のビーナス」とうたわれる、長身のすらりとして美しい清長美人は、浮世絵黄金期の華となりました。
また、芝居絵に伝統のある鳥居家の四代目を継承した清長は、歌麿と並ぶ美人画家として活躍する一方、歌舞伎関係の作画にも献身して、浮世絵界に多大な貢献を果たしたものでした。
今では国際的な知名度を得ている鳥居清長は、文化12年(1815年)5月21日に、数え年64歳で没し、回向院に葬られました。その後、回向院は地震や戦災など度重なる災禍にあって、清長の墓碑を失い、今日に至っています。
間もなく訪れる没後200年の記念すべき節目に間に合うように、清長の歴史的な画業とその信義を重んじた人間性を讃える墓碑を再建しようという声が、回向院をはじめとする有志の間から、湧き上がり、日本の誇る浮世絵を愛好し、清長を追慕する方々のご賛同を得て、清長碑建立を実現いたします。
(※1)完結までに何作か回数を重ねてひとまとまりの内容になるもの。清長は続物でありながら単体でも、全体を繋げて鑑賞しても破綻なくまとめられており、高い手腕が讃えられていた。
- 完成予定 :
- 平成25年4月20日
- 場所 :
- 回向院境内(本堂脇)
- 寸法 :
- H210cm × W200cm D810cm
- 材質 :
- 本小松・ブロンズ
- 意匠 :
- 村上清(仏像彫刻家)
- 筆耕 :
- 早野考槃(書家・圓天寺住職)
※平木浮世絵美術館蔵「大川端夕涼み」を参考にブロンズプレートを作成し、石碑
正面に取り付ける

また、これを記念し、善光寺出開帳両国回向院に合わせて「江戸の華・浮世絵と両国回向院展」を開催し、5月4日~5月8日は、各美術館などの協力を得て、「鳥居清長名品展」の開催とともに、記念講演会を開催いたします。

会 期 | 「江戸の華浮世絵と両国回向院展」 4月27日~5月19日(善光寺出開帳両国回向院開催期間) 特別展「鳥居清長名品展」、「記念講演会」 5月4日~5月8日 |
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開館時間 | 午前9時~午後15時30分(入場は15時まで) (※記念講演会 午後15時45分~16時45分) |
会 場 | 回向院特設会場(本堂2階ホール) |
入場料 | 善光寺出開帳両国回向院 拝観料(大人:1000円、子ども:500円)に含まれます。 |
記念講演会 |
5月4日(土)第一回 「鳥居清長の美人画」田辺昌子(千葉市美術館) 5月5日(日)第二回 「両国回向院と出開帳」石山秀和(江戸東京博物館) 5月6日(月)第三回 「鳥居清長とライバルたち」内藤正人(慶應義塾大学教授) 5月7日(火)第四回 「鳥居清長の役者絵」森山悦乃(平木浮世絵美術館) 5月8日(水)第五回 「鳥居清長と越後屋」樋口一貴(三井記念美術館) ☆各回講演会前に音曲師柳家紫文師匠による三味線爪弾きと楽しいおしゃべりがあります。 |
監修:佐藤光信
協力:川崎砂子の里資料館、千葉市美術館、摘水軒記念文化振興財団、平木浮世絵美術館、他
企画協力:株式会社 江戸文物研究所